利用者の「抱え込み」は是か非か。
こんばんは、福岡は台風の影響もなく穏やかな1日でした。
小中学校と休校になっていたので、子どもたちは嬉しかったでしょうね。
さて今回は、医療介護業界ではあるある過ぎる「利用者の抱え込み」について言及していきたいと思います。
「抱え込み」と聞くといいイメージは湧きません。お金や売り上げにガメツイ法人とすら思われるかもしれませんね。
ちなみにわたしの意見としましては、サービスの品質が伴っていれば抱え込みは是という立場です。
利用者の抱え込みとは?
例えばあなたがどこかしらの医療法人に勤めているとしましょう。
病院だけでなく高齢者施設や在宅介護事業をされているところも多いはずです。
その病院が入院病棟があった場合、例えば退院時施設入居が必要、在宅に戻って介護が必要となった場合、ほぼ80パーセント同一法人の施設や事業所に仕事を振るはずです。
中には、利用者の希望が外部の事業者にあるにも関わらず、都合いい方便を並べて自社のサービスを利用させる、というところもあります。それはもう、星の数ほどあると言っていいでしょう。
こんなパターンもよく聞く話です。こうなってしまっては、医療介護の根本がなんなのかすら揺らいでしまいかねません。
ボランティアではない医療介護経営の難しさ
医療福祉介護の業界ではなぜか、ボランティアという言葉が暴力的なエネルギーを持ちます。
しかし、病院・施設経営も立派なビジネスです。
適切なサービスを提供して対価を得ないと継続できません。しかしながら、どうしても患者、利用者の立場は事業者に対して弱くなりがちで、その隙を狙ったようなあくどい法人があるのもまた事実でしょう。
福岡市内でもそう言った話をよく伺います。病院の空き状況次第で入院期間が変わったり、求めてもいないのに半ば強引に施設に入居させられたり…これは不幸ですよね。
ただ、儲け一辺倒に走ってしまうと、後々は診療報酬や介護保険請求の不正だったり、犯罪の温床にもなりかねません。
利用者と家族にとっての抱え込み
あまりイメージの良くない抱え込みですが、真っ当に事業をされているところに限って言えばむしろ抱え込みは利用者・家族にとってプラスになることが多いです。
具体的なメリットとしては「同一事業者のため連携が取りやすい」「連絡調整を一元化できる」の二つが挙げられるでしょう。
同一事業者だからこその連携力
基幹病院のある住宅型有料老人ホーム、系列のデイサービスなども充実している場合、同一事業者でサービスを固めてしまえば、連携の面で複数の別事業者が関わっているよりもスムースになります。
どうしても経営母体が別の事業者同士になると、取引先としての関係もなり、見えない主従関係が生まれてしまいがちです。
取引先に対して言いにくいことは隠してしまったり、お互いにこうした方が利用者のためになると思ってもなかなか切り出せない、といった風なことも起こるでしょう。
しかし、同一法人内であればそういった心配が少なくなります。
馴れ合いが生じやすいというリスクもありはしますが、適切なサービスを提供している事業者同士ならその心配も少ないでしょう。
まとめ
医療介護の業界にとって「抱え込み」はメリットデメリットのあることです。
ソーシャルワーカーや施設相談員として勤務されている方はどのようにこの抱え込みを本人家族に説明するのかももちろんですが、抱え込みが悪い方向に向かわないよう監視者としての機能も持つべきかなと考えます。
サービスの質が伴う抱え込みは、広く提供されてしかるべきではないか、というのがわたしの意見です。